あの物語のその先へ。『星を編む』凪良ゆうが描く、語りきれなかった愛の物語

物語が終わった後、登場人物たちの人生はどうなったのだろう。凪良ゆうの『星を編む』は、そんな読者の願いに応える一冊だ。2023年本屋大賞を受賞した『汝、星のごとく』の続編として講談社から刊行された本作は、前作で語りきれなかった愛の物語を、三つの短編で描き出す。

『星を編む』/凪良ゆう

「春に翔ぶ」では、瀬戸内の島で出会った櫂と暁海を支え続けた教師・北原の秘められた過去が明かされる。「星を編む」では、才能という名の星を輝かせるために魂を燃やす編集者たちの物語が綴られ、漫画原作者・作家となった櫂を担当した二人の編集者が繋いだものが描かれる。そして「波を渡る」では、花火のように煌めく時間を経て、愛の果てにも続いていく暁海の人生が、新たな愛の形とともに描かれる。

本屋大賞を二度受賞した作家の思い

著者・凪良ゆうは、『流浪の月』で2020年に本屋大賞を受賞し、『汝、星のごとく』で2023年に2度目の受賞を果たした。本作の企画には、作家自身の強い思いが込められている。公式サイトによれば、「書店に訪れる人を増やしたい。書店は本を買うだけではなく、様々な物語の出会いと喜びのある場所だということを伝えたい」という彼女の願いから、プロジェクションマッピング花火のイベントも開催された。

凪良は2007年にデビューし、BLジャンルで「美しい彼」シリーズなど多数の代表作を持つ。2019年に『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行して以降、常に読者の心を揺さぶる作品を生み出し続けている。『汝、星のごとく』は直木賞候補、吉川英治文学新人賞候補、キノベス!2023第1位など、数々の栄誉に輝いた。

完璧な続編が描く、救いと希望

本作は「完璧な続編」として多くの読者から絶賛されている。前作では救いのない結末を迎えたと感じた読者も、本作を読むことで「ようやく救いがもたらされた」と語る。ある読者は「『汝、星のごとく』の続編という事で前作を再読した後に手に取る。凪良さんが紡ぐ宝物のような言葉を一字一句、取り零さないように時間を掛け、ゆっくりと読み進めた」と述べている。

特に印象的なのは、血のつながらない北原の娘・セレーナが「わたしのやりたいことをする」と高らかに宣言した瞬間だ。必死に生きてきた登場人物たちが、「ああ、そうか。わたしたちは幸せだったのかもしれないね」と気づく場面には、多くの読者が涙した。50年の長きに渡る年月の中で、穏やかな表情へと移り変わっていく人々の姿が、凪良作品らしいヒューマンタッチ溢れる筆致で描かれている。

花火のように煌めいて、届かぬ星を見上げて、海のように見守って。本作には、あらゆる形の愛があった。2024年本屋大賞にもノミネートされた『星を編む』は、前作を読んだ人にこそ手に取ってほしい、かけがえのない続編だ。

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