百里基地

ひゃくりきち

百里基地(ひゃくりきち、英: JASDF Hyakuri Air Base)は、茨城県小美玉市百里に所在する航空自衛隊の基地です。正式名称は百里飛行場(ひゃくりひこうじょう)であり、中部航空方面隊隷下の第7航空団などが駐屯しています。

首都圏における唯一の戦闘機部隊を擁し、関東地方および首都圏の防空を担う重要な戦略拠点です。2010年(平成22年)からは民間共用化が図られ、茨城空港として民間機の発着も行われています。また、かつては自衛隊の合憲性を巡る「百里基地訴訟」の舞台となったことでも知られています。

概要 / 百里基地とは

百里基地は、航空自衛隊が運用する防衛拠点であり、主に第7航空団が配置されています。基地の総面積は約390万平方メートルに及び、2,700mの滑走路2本を並行して有する、日本でも屈指の規模を誇る航空基地です。

最大の任務は「対領空侵犯措置」であり、24時間体制で戦闘機(現在はF-2)がスクランブル(緊急発進)待機を行っています。また、航空救難団の拠点の一つである百里救難隊も所在しており、災害派遣や海難救助においても重要な役割を果たしています。2020年(令和2年)には長年運用されていたF-4EJ改(ファントムII)が退役し、現在は最新鋭のF-2戦闘機が主力機として運用されています。

所在部隊と主要運用機

百里基地には、戦闘機部隊だけでなく、救難部隊や管制、施設管理など多岐にわたる部隊が所在しています。

第7航空団 (7th Air Wing)

中部航空方面隊の主軸であり、首都圏防空の「要」です。

  • 第3飛行隊: F-2A/B 戦闘機、T-4 練習機を運用。2020年に三沢基地(青森県)から移駐しました。
  • 整備補給群・基地業務群: 機体のメンテナンスや基地の運営を支えます。

航空救難団 百里救難隊

航空自衛隊の救難体制において、関東周辺の山岳・海域を担当する精鋭部隊です。

  • U-125A: 救難捜索機
  • UH-60J: 救難ヘリコプター

その他の所在部隊

  • 百里管制隊: 飛行場管制およびレーダー管制業務を担当。
  • 百里気象隊: 航空気象の観測と予報を実施。
  • 中部航空施設隊(第3作業隊): 滑走路の補修や基地施設の建設・管理を担当。

歴史と沿革

百里基地の歴史は古く、旧海軍の時代から現代の民間共用化に至るまで、日本の航空史と密接に関わっています。

  • 1937年(昭和12年): 旧海軍の「百里原海軍航空隊」として創設。
  • 1956年(昭和31年): 航空自衛隊の基地として設置が決定。
  • 1966年(昭和41年): 第7航空団が新編され、百里基地としての本格運用を開始。F-104J戦闘機が配備。
  • 1973年(昭和48年): F-4EJ(ファントムII)の運用を開始。
  • 2010年(平成22年): 茨城空港が開港し、民間共用を開始。
  • 2020年(令和2年): 第501戦術偵察飛行隊(RF-4)が解隊。第301飛行隊が三沢基地へ移駐し、F-4戦闘機の運用が終了。代わって第3飛行隊(F-2)が移駐。
  • 2026年(令和8年): 第3飛行隊が創設70周年を迎え、記念行事等が計画されている。

百里基地訴訟(憲法上の争点)

百里基地は、憲法学において非常に重要な**「百里基地訴訟」**の舞台となった場所です。

訴訟の経緯

1950年代、基地建設に反対する住民が、基地建設予定地の土地を国に売却する契約の無効を訴えたものです。原告側は「自衛隊は憲法9条が禁じる戦力であり、そのための土地売買は公序良俗に反する」と主張しました。

判決の意義

1989年(平成元年)、最高裁判所は以下のような判断を示しました。

  • 国の私法上の行為(土地の売買など)は、公権力の発動でない限り、原則として憲法9条の直接適用の対象にはならない。
  • 平和主義の理念は、具体的訴訟において私法上の行為を無効とする基準にはならない。結果として国の勝訴が確定し、この判決は行政書士試験や司法試験における憲法の最重要判例の一つとなっています。

地域社会との関わり

百里基地は地域社会との交流を重視しており、特に毎年秋から冬にかけて開催される**「百里基地航空祭」**は、全国から数万人の航空ファンが集まる一大イベントです。

  • 茨城空港との連携: 旅客ターミナルに隣接しており、展望デッキからは自衛隊機の訓練風景を見ることができます。
  • 空の駅 そらら: 基地の近くに位置する地域振興施設で、百里基地関連のグッズ販売や、退役した機体の展示が行われることもあります。
  • 騒音対策: 基地周辺自治体(小美玉市、石岡市、鉾田市等)に対して、防衛省による住宅防音工事の助成などの環境対策が実施されています。

よくある質問 (FAQ)

Q: 航空自衛隊の百里基地と茨城空港は同じ場所ですか?

A: はい、同じ滑走路を共有しています。軍事目的で利用する場合は「百里基地(百里飛行場)」、民間航空で利用する場合は「茨城空港」と呼ばれます。

Q: 一般人が基地の中に入ることはできますか?

A: 通常時は基地内への立ち入りは制限されています。ただし、毎年の「航空祭」や、事前に申し込む「基地見学ツアー」などのイベント時には一般公開が行われます。

Q: 現在、百里基地で見られる主要な戦闘機は何ですか?

A: 現在の主力は三菱 F-2A/B 戦闘機です。かつてのF-4EJ(ファントム)はすでに現役を引退しており、展示機として保存されているもの以外、飛行シーンを見ることはできません。

Q: 2026年の航空祭の予定は?

A: 例年、12月頃に開催される傾向がありますが、正確な日程は防衛省・百里基地の公式サイトで毎年秋頃に発表されます。2026年は第3飛行隊の70周年に関連した特別な展示が期待されています。

まとめ

  • 防衛の拠点: 首都圏唯一の戦闘機部隊を擁し、関東の空の安全を守る。
  • 第3飛行隊の主力: F-2戦闘機への機種更新が完了し、最新の防空体制を維持。
  • 歴史的意義: 日本の航空史や、自衛隊の合憲性を問う法的論争の象徴。
  • 地域共生: 茨城空港との滑走路共用や航空祭を通じて、広く一般に親しまれている。

外部リンク・参考文献


この記事の著者

「茨城をもっと元気に面白く!!」をコンセプトに、地域に根ざした情報を発信。暮らしに寄り添う記事づくりを心がけています。

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